すべて紙での運用。作業の実態が正確に把握できない状態
-どのような業務でUnifinityをご利用いただいているのでしょうか?
当社は、主にJR東海が運行する新幹線及び在来線の駅や車両の清掃や整備を担っています。その中で、Unifinityは今年の3月から駅の清掃業務における作業カードなどとして利用しています。担当する駅のトイレやゴミ箱、コンコースなど各種清掃作業を毎日行うのですが、どの作業を何時から何時までに行えばいいかと言った情報をアプリで参照しています。
-Unifinity導入前はどのような課題がおありだったのでしょうか?
もともとは、どの駅でどの作業をして、何分の電車に乗って次の駅まで移動して、そこの駅ではこの作業をしてという作業スケジュールをすべてエクセルで作成、印刷したうえでカード型に切ってすべての清掃作業員に持たせていました。
当時はこの作業カードをつくる作業に膨大な時間がかかっていたことに加え、カード自体がアナログであったことから各作業の終了報告や時間管理も適切にできておらず、原価管理などにも問題が出ている状態でした。
-それは大変そうです
そうですね。基本的にはJR東海のダイヤ改定があったタイミングや駅施設の改修などがあった契約改定のタイミングで作業カードを刷新する必要があって、それが少なくとも年に3~4回、カードの作成には1回あたり60時間くらいを要していました。さらに最近は効率化に向けての作業の見直しが多くあり、負担が増加していました。
また、清掃作業員は実際に作業をした報告や所要時間などを作業終了後に事務所に戻って記録するという流れになっていたため、記録漏れなども多く発生してしまっており、作業の実態が正確に把握しきれていないという状態が発生してしまっていました。
高齢のメンバーも多い現場。視認性の悪いツールは浸透に懸念
-どういった経緯で問題の解決に取り組むことになったのでしょうか?
DX推進のためにkintoneが全社導入されたことがきっかけでした。そのタイミングで将来の労働力不足に対応するため業務改革(業務効率化)に取り組もうという号令があったことと、社内の業務研究の取り組みにおいて、私たちの事業所では先述の作業カードを効率化しようということになりました。
もともとお付き合いのあったリコージャパンさんなどに相談し、まずはkintoneやプラグイン、その他連携ツールでできること、できないことを確認していきました。
-Unifinityを検討することになったきっかけを教えて下さい
作業スケジュールの立案部分はkintoneのプラグインなどを活用して、ある程度使いやすいものができていたのですが、当初から現場向けのUIが課題だと感じていました。というのは、当社の現場には高齢のメンバーも多く、機械やデジタルツールの操作が苦手だったりするため、kintoneのモバイル向けUIそのままだと視認性が悪く現場に浸透しないのではないかという懸念が強かったためです。
このため、UIのカスタマイズ性が高くモバイルに強い連携製品を探し、Unifinityのことを知るに至りました。費用感も予算に収まったことに加え、取引先の会社でも利用実績があるということで導入は前向きに進みました。
-実際の導入はスムーズでしたでしょうか?
私たちの事業所にはアプリの開発などに慣れたメンバーはいなかったため、本当に自分たちでアプリが作れるのだろうかという不安は当初からありましたが、何とかアプリを完成させることができました。
実は冒頭でご紹介した作業カードアプリに関してはユニフィニティーさんに構築をお願いしたのですが、その後自分たちでもアプリの作成方法を覚え、現状では作業カードの他に遺失物や異常時用の報告アプリやヒヤリハット報告アプリ、駅ポスター貼替報告アプリなどいくつかのアプリを作成し、運用に乗せることができています。担当の方にサポートしていただきながらですが、トライアンドエラーを繰り返しながら少しずつ構築を進め、概ね1アプリにつき1~2か月で完成させることができています。
現場の要望を聞いてアプリをブラッシュアップしていけるのがノーコードの強み
-実際に利用を開始されてみてアプリの効果や評判はいかがでしょうか?
アプリの運用は非常に順調です。とにかくシンプルなUIになるように工夫しましたし、本運用をはじめるまえに2か月ほど既存の作業カードと並行運用しながら現場の意見を集め、細かく修正対応を行ったことも良かったのだと思います。本運用にあたっては1時間ほどの勉強会を行いましたが、それだけでほぼ問い合わせもクレームもなく、大変スムーズに運用開始することができました。60時間ほどかかっていたカード作成の作業も15時間ほどまで短縮されました。
-アプリの作成に際して特に工夫した点などを教えて下さい
アプリの目立つ箇所に「作業中」というボタンがあり、これを押すと現在の日時を参照してそのタイミングで行われているべき作業のページが一発で開きます。紙の作業カードを使用していたときは、作業の傍らでカードをたくさんめくって作業中の内容を探す必要があったため、それと比べるととても楽になりました。アプリならではの機能という感じでとても気に入っています。
他にも現場で実際にテストをしてみて寄せられた意見で、作業をしていて判断に迷うことがあった際にアプリから事業所に電話をかける機能や動画を撮って送る機能があると便利だというものがありました。これらの機能も実際にアプリを追加し、頻繁に利用されています。現場の要望を聞きながら細かな修正を何度も行ってブラッシュアップしていけるのがノーコードの強みだと感じました。
-今後の展開についてお考えのことを教えて下さい
現在は私たちの事業所のみで利用しているのですが、同様の駅清掃を行っている事業所が12か所ありますので水平展開を準備中です。事業所ごとに少しずつ業務が違ったり、アプリへのニーズも異なる可能性が高いと思いますが、そこもノーコードの強みが活かせる部分ではないかと感じています。