【対談レポート】サイボウズ青野氏と弊社代表 曽良が語る、現場DXの突破口
オフィスと現場の二極化を打破するノーコード連携の可能性を経営トップが語る
ノーコードモバイルアプリ開発プラットフォーム「Unifinity」を提供する弊社、株式会社ユニフィニティー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:曽良俊介、以下「ユニフィニティー」)は、サイボウズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:青野慶久、以下「サイボウズ」)代表取締役社長・青野慶久氏との特別対談を実施しました。
デジタル化が進む一方で、製造・建設などのフィールドワーカーを中心とした「現場DX」が遅れている現状と、その課題を突破するためのkintoneとUnifinityの連携による解決策、そして両社が描く日本のDXの未来について語りました。
(左) 株式会社ユニフィニティー 代表取締役社長 曽良 俊介
(右)サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久 氏
大企業であっても現場のDXは進んでいない
ーー現場のDXにおける課題をどのように捉えていますか。
青野氏:
企業のDXを28年間支援してきて感じるのは、デスクワーカーですらまだDXが十分に進んでいないということです。まして、フィールドワーカーとなると、大企業でも苦戦していますし、中小企業はかなり厳しい状況でしょう。
曽良:
たしかに、フィールドワーカーの現場はアナログな部分が多く残っています。大企業からのお問い合わせも多いのですが、そうした企業でさえ、現場では業務のほとんどを紙に手書きして進めていることが珍しくありません。青野さんがおっしゃるようにデスクワーカーもDXが十分とは言えないものの徐々に進んできてはいますが、フィールドワーカーはさらにアナログです。オフィスと現場で二極化が起きている印象です。
ーーオフィスと現場で二極化が起きる原因はどこにあるのでしょうか。
曽良:
いくつか要因があると考えます。まず、現場では通信環境が十分に整っているとは言えないことです。現場の通信環境は電波がつながりづらいことも少なくありません。また、現場の方々のITへの抵抗感も根強く残っています。そもそもスマートフォンを取り出し、アプリを開いて操作するより、紙の図面に手書きで印をつける方が早いというケースも多いですからね。
さらに、「言い出しっぺ」がいないという問題もあります。現場の方々は自分たちの作業を効率化するインセンティブがあまりありません。最近は大企業で現場をDXしようとする動きが出てきていますが、そういった立場の人がいない会社では、DXのリーダーシップをとる人がいないのです。
青野氏:
おっしゃるとおりです。現場の人にとって、本来の仕事をしながらさまざまなITツールを比較検討して導入のプレゼンをするというのは、とてつもない負担になります。大手企業であっても、現場の業務となると本社の情シスが把握できていないことも多く、なかなか踏み出せないのが実情でしょう。ただ、人手不足が深刻化しており、DXが急務であることも事実です。
ーーいくつもの壁を乗り越えて、ようやく現場のDXが進むのですね。
曽良:
はい。ただ、その後にもう一つの壁が待っています。それは、オフィスと現場では使いやすいツールが異なるということです。オフィスでは大画面や複数のモニターを使えますが、現場の方は基本的にスマートフォンの小さな画面で作業します。しかも手袋をしていて細かい操作がやりにくかったり、電波が弱かったりといったハンデもあります。オフィスワーカーにとっては使いやすいツールも、現場の方は使いにくいことが多いのです。
青野氏:
耳が痛いですね。サイボウズが提供するkintoneも同じ課題を抱えています。モバイルアプリも提供していますが、たくさんの機能を盛り込んでいるため、現場では使いづらいと思います。本当はオフィスと現場、それぞれに適した形でアプリを提供しなければならないのです。
の記録、お客様サインの受領といった機能があり、すべてがスマホから簡単にできるようになっています。
また、アプリに登録された情報は自動的にkintoneに連携され、Googleドライブを経由してオーダー管理システムにまで連携されます。わざわざ事務所に戻ってオーダー管理システムに情報を登録する必要がないため作業工数の大幅な削減に成功しました。
kintoneとUnifinityの連携が現場のDXを後押しする
ーーそんな課題をどう解決すればいいのでしょうか。
曽良:
当社が提供する「Unifinity」が、まさにそのような課題を解決するためのサービスです。kintoneと同じくノーコードでアプリを制作するツールですが、kintoneがデータベースを中心としたWebアプリが得意なのに対して、Unifinityはモバイルアプリに特化しているのが特徴です。そして、Unifinityはkintoneとも強力に連携します。
青野さんがおっしゃったように、現場におけるkintoneの使い勝手が良くないという声は当社にも寄せられています。kintoneはオンラインでの使用を前提にしており、インターフェースもオフィスワークに適しているからであると考えています。そのため、仮にkintoneを導入したとしても、現場では紙にメモしておき、あとからオフィスに戻ってkintoneに入力するという流れになりがちなのです。
そこで、kintoneと連携させたUnifinityの出番です。Unifinityはネイティブアプリなので、電波が入らない場所でも起動できます。また、内部にデータベースを持っているため、事前にkintoneと通信しておけば、オフラインでもデータを閲覧できるのです。さらに、現場で撮影した写真などもUnifinityで一時的に保存しておき、あとからkintoneに自動で同期することも可能です。
加えて、UIを細かくカスタマイズできるのも特徴です。文字やボタンのサイズを変えたり、ボタンの種類を増やしたりと、現場に合わせてカスタマイズできます。
デバイス機能も活用できます。たとえば、情報を毎回手入力するのは面倒ですよね。Unifinityなら、NFCカードリーダーで社員証を読み取ったり、バーコードやQRコードを読み取ったり、位置情報を取得して住所を自動入力したりと、デバイスの機能を活用して現場での入力の負荷を下げられるのです。
ーー機能面以外で、Unifinity独自の特徴はありますか。
曽良:
サービス面では、カスタマーサクセスチームによる手厚いサポートを行っています。Unifinityはノーコードという性質上、お客様にある程度作っていただく必要がありますが、細かく調整しようとすると難しく感じる方もいらっしゃいます。そこで、私たちがサポートさせていただくわけですが、単に作り方をお伝えするだけではありません。アプリの作り方だけでなく、どのように現場を巻き込みながら導入するのか、現場からもらったフィードバックを早く返すコツなども含めて、アドバイスさせていただいています。導入から3か月程度は密着して伴走し、実際に現場で使っていただくところまでサポートします。
また、お客様企業に代わり、私たちがアプリを作るサービスも提供しています。現場の意見を聞いて、要望が出れば何度でも対応します。実際に現場にアプリが浸透してから料金が発生する「定着保証」がUnifinityの大きな特徴です。
ーー青野さん、Unifinityの印象はいかがでしょうか。
青野氏:
当社が目指すのは、デスクワーカーだけでなく、フィールドワーカーも含めて、全員が情報共有できる世界を作ること。しかし、現状はそうなっていません。その責任は私たちにもあります。kintoneのCMを見ても、デスクワークのシーンばかりですからね。現場の方はkintoneを使ったDXを想像しづらいでしょう。Unifinityはまさにkintoneの裾野を広げてくれるサービスだと思います。
曽良:
ありがとうございます。現在、当社にご相談されるお客様はkintoneをかなり使い込んでいて、現場もデジタル化したいと考えてはいるけれど苦戦しているということが多いです。一方、そもそも現場の課題をkintoneで解決しようという発想がない企業も少なくありません。当社としては、その両方にUnifinityを知っていただきたいと思っています。
サイボウズとユニフィニティーは「世界観」が共通している
ーーユニフィニティーがサイボウズのパートナー企業になった背景を教えてください。
曽良:
Unifinityはモバイルアプリを作るためのアプリです。データベースやWeb側の構築を行うツールではなく、データベースを持つアプリとの連携を前提としています。連携先としてさまざまなサービスを選定していますが、中でもkintoneは国内で最大級のデータベースであり、巨大な顧客基盤を持っていることが魅力でした。
もともと、お客様から「kintoneがモバイルで使いづらい」というご相談を受けるたびに案件ベースで対応してきましたが、同じような問い合わせが非常に増えたため、kintoneと連携しやすくなる方向で製品開発を進めることにしました。現在はkintoneのアカウント情報を入力し、連携先となるkintoneアプリを選ぶだけで、ほぼ自動でモバイルアプリが作成できるところまで連携が実現しています。
ーー青野さんは両社の連携についてどう思われますか。
青野氏:
ユニフィニティーさんとの連携でkintoneの顧客を拡大できることは当社にとっても大きなメリットです。加えて、ユニフィニティーさんとサイボウズは同じ世界観を共有しているパートナーだと感じます。ノーコードでアプリを作成できるというコンセプトにしても、現場の困りごとをスピーディーに拾い上げ、「オフィス側も現場も、みんなで業務を改善していく」ことを目指している点で、両社は共通しているんです。実際、ユニフィニティーはCybozu Partner Network Report 2025 アライアンス部門においても二つ星を獲得するなど、kintoneのパートナーとしても高い注目を集めています。
曽良:
そうした「管理側と現場の一体感」を、案件の中で感じる場面は多々あります。一旦、アプリを作ってみて現場の人に見せてみて、要望が上がってきたら、すぐに修正する。そうすると、現場の人も積極的にコミットしてくれるし、管理側も現場の期待に応えられて嬉しくなります。そうやってお互いのテンションが上がって、良いものができていくという好循環が生まれるんです。
青野氏:
曽良さんがおっしゃった「管理側と現場の一体感」って、実は日本特有なんですよね。日本ではまだまだ長期雇用があって、現場が高いスキルや知見を有しています。現場の人が業務改善に関わることも珍しくありません。この「現場の力」にこそ、私たちのツールは刺さると考えています。
曽良:
なるほど。すごく面白いですね。日本だけでやっているとなかなか気づかない視点ですが、ノーコードを活用するメリットとして「現場の力が高まる」「ロイヤルティが向上する」といった点もぜひ訴求していきたいです。
Unifinityが実現した現場DXの成功事例
ーーUnifinityを導入した企業の事例を教えてください。
曽良:
まず、JR東海グループで、施設の清掃を担当するセントラルメンテナンスさんの事例です。同社では作業員の清掃スケジュールを管理するアプリをUnifinityで作成し、アプリを開くだけで「現在どの場所で清掃が行われている必要があるか」がわかるようになっています。また、作業の詳細を確認したり、写真を撮って報告したり、困ったことがあれば電話連絡ができるような機能も実装しています。このアプリ開発では、早い段階から現場でテストを行って意見を募り、何度も改善を行いました。その結果、本運用後はスムーズに定着しました。
青野氏:
現場に合わせて作り込んでいくスピード感がすばらしいですね! 開発と運用がシームレスにつながっている点は、サイボウズが掲げる「100人100通りの働き方」とも共通した考え方だと感じます。
曽良:
ありがとうございます。次に日鉄エンジニアリングさんの事例です。同社はプラントを建設する会社で、納期に間に合わせるために工事の進捗を正確に把握する必要があります。もともとは図面に色を塗ったり、線を引いたりして、それを現場監督が集め、夜中までかかってExcelに入力していました。この作業をUnifinityでアプリ化しました。配管に貼り付けたQRコードをスマホで読み取るだけで配管を特定し、ステータスを変更して送信するだけというシンプルな操作が特徴です。
青野氏:
これは良いアプリですね。配管にQRコードを貼るのはすばらしい発明です。紙だと見間違いや書き間違い、現場監督の見落としなどのミスが起きる可能性がありますが、このようなデジタルシステムなら確実にデータで残せるのでミスが減りますね。
曽良:
はい。もう一つのポイントは、「シンプルがゆえに紙よりも速くて簡単」という点です。実は現場のDXが失敗する大きな理由の一つが、「管理側は楽になるけれど、現場は楽にならない」ということなんです。デジタルシステムを現場に導入しても、現場の人間からすると「紙の方が早いじゃないか」「誰の効率が良くなるんだ」となりがちです。シンプルなUIは、現場の方に「これなら紙より良い」と実感していただくための重要なポイントなんです。
他にはセキュリティ面での改善例として、ウォーターサーバーのメンテナンスを行うダイキアクシスさんの事例があります。同社はお客様宅を訪問して、抗菌パックやフィルターを交換し、作業が終わったらお客様からサインをもらっていました。もともとは紙で行っていたため、顧客名簿を車に積み込む必要があり、セキュリティリスクがあったのです。そこでこれをkintoneとUnifinityでスマホアプリ化し、顧客情報の閲覧のほか、訪問予定の管理、作業内容の記録、お客様サインの受領ができる構成にしました。
結果、作業終了後の事務所作業をなくし、1日に一人当たり1~2時間の残業時間削減ができ、さらに紙の持ち運びが不要になったことから、セキュリティリスクも減少しました。
両社の連携がもたらす現場DXの未来
ーーkintoneとUnifinityの連携により、現場のDXの成功事例が続々と生まれています。これからの展望についてお二人のお考えを教えてください。
青野氏:
kintoneとUnifinityの連携を、とにかく日本の現場に広めていきたいと思っています。現場のデジタル化によって、紙よりもはるかに高いセキュリティを実現でき、データが正確にリアルタイムで取れることで、経営の品質も上がります。もはや基幹システムと言ってもいいレベルのシステム連携だと感じています。これを日本の隅々にまで広げれば、日本はデジタル先進国になれると思いますし、その実績を海外に持って行くこともできるでしょう。
曽良:
私も日本のソフトウェア産業の後進性には心を痛めていて、何とかしたいと思っています。海外の企業は巨大なので、日本国内の企業が対抗するにはサイボウズさんと当社のような連携が重要です。一緒にタッグを組みながら、海外でも戦っていきたいと思います。
青野氏:
そうですね。海外の巨大企業は自社製品に業務をすべて合わせてくださいというスタンスですが、私たちはもっとお客様志向で考えています。多様な企業の事情に寄り添い、提案していくことが、現場に対する本当の意味での最適化だと思います。
ーー最後に、kintoneとUnifinityの導入を検討されている方へメッセージをお願いします。
曽良:
デジタル化するのはいいけれど、その先に何があるのかわからないという不安を抱えている方も多いと思います。しかし、実際にkintoneとUnifinityで効率化以上の成果を出している事例も増えているので、ぜひそのあたりも含めてご相談いただければと思います。
青野氏:
早く導入しましょう! そうでないとどんどん人が辞めていってしまいます。多くの企業が危機感を持っています。だったらもう、やりましょう。現場の人たちを含めたDXを。ノーコードのツールを使えば、そんなに費用や時間もかからず実現できます。あとは、やる気だけの問題です。
【Unifinityについて】
Unifinityは、kintoneをはじめとしたさまざまな業務システムと連携したモバイルアプリをノーコードで簡単に作成できるツールです。
Unifinity Wizardを使用することで、入力項目や手順を設定するだけで、デザイン不要で現場用のモバイルアプリが短時間で完成します。kintone連携機能を活用すれば、モバイルアプリのデータベースとしてkintoneが自動的に紐づけられ、複雑な設定は不要です 。
また、Unifinityで作成したアプリは、iOS、Android、Windowsに対応した専用の実行アプリ上で動作し、オフライン環境でも利用可能です。これにより、地下や工場内など電波が届きづらい現場でも作業が滞ることなく進められます。
3分でわかるUnifinityご紹介資料:https://www.unifinity.co.jp/library/wp-08/
【kintoneとは】
東証プライム上場企業の3社に1社を含む、38,000社以上が利用しているサイボウズのノーコード・ローコードツール。ITの知識がなくても自社の業務に合わせたアプリを作成でき、日々変化する業務にあわせた改良も簡単に素早くできます。主な機能として「データベース+ワークフロー+コミュニケーション」の特性があり、顧客管理、出張申請、業務日報など幅広い用途で活用できるため、現場主導の継続的な業務改善を実現します。
製品サイト:https://kintone.cybozu.co.jp/
【今後の展開について】
当社では今後も「テクノロジーを、現場に届ける」という使命のもと、以下の取り組みを強化し、お客様の業務改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)を引き続き支援してまいります。
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kintone連携の更なる強化
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連携先業務システムの拡充
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業種・業務別セミオーダーパッケージアプリの充実化
【ご利用について(無料アカウント配布中)】
上記Unifinity Wizardを含むUnifinityの一部機能は完全無料で利用可能です。ノーコードを活用したアプリ作成をぜひ一度体験ください。お申込みは以下よりお願いいたします。
https://unifinity.co.jp/freesignup
【会社概要】
株式会社ユニフィニティー
代表者:代表取締役社長 曽良俊介
事業内容:業務用モバイルアプリ開発プラットフォーム「Unifinity」の開発・提供
所在地:東京都渋谷区道玄坂1-16-5 大下ビル8F
URL:https://www.unifinity.co.jp/
サイボウズ株式会社
代表者:代表取締役社長 青野慶久
事業内容:チームワークを支援するクラウドサービス「kintone」などの開発・提供
所在地:東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー 27階
URL:https://cybozu.co.jp/
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