モバイル時代に向けて働き方をアップデートしよう

社長ブログ

モバイル時代の組織運営を語る上でのキーワードは以下の3つであると考えています。

  • モビリティ:関係性よりも流動性に投資する
  • インテグリティ:統合されたシステムをデザインする
  • オートノミー:自律的に成長する組織をつくる

これまでの組織は、硬直的で分断されていて中央集権的でしたが、モバイル時代の到来を受けてこのすべてが変わる必要があります。

すなわち、流動性を許容しつつ整合性を確保し自律を促す組織がこれから生き残る組織だと思っています。

理由は単純で、その方が人が楽しく働けるからです。

楽しく働く以上に人が高いパフォーマンスを出す方法はありません。

ニール・ドシとリンゼイ・マクレガーの調査によれば、フォーチューン誌が選ぶ「世界で最も称賛される企業」第1位となった米ホールフーズの従業員は、仕事をする動機として経済的理由やその他仕事を通じた目的の達成よりもより純粋な「楽しさ」をあげる人の比率がライバル3社の従業員に比べて3倍も高く、同比率は、顧客満足度との間に極めて高い相関を示しています。

関係性よりも流動性

伝統的な日本企業では、企業と従業員の間の長期的関係が非常に重視されてきました。

関係性が重視されることの弊害は、個人が獲得するスキルが特定の企業でのみ求められる固有スキルに偏ることにあります。

企業が終身雇用を謳っている間はそれでもよかったのですが、バブル崩壊以降、山一證券や北海道拓殖銀行、最近では日本航空やシャープ、東芝など、業績の悪化を理由に大企業が破綻したり大規模なリストラを行ったりする例は枚挙に暇がありません。

砂浜で穴を掘り、それが終わったら今度は埋めるみたいな仕事を繰り返して関係性だけ強めても、企業がつぶれてしまってはしようがありません。

いま、個人にとって仕事は、「持ち運び可能であること」がますます重要になっています。

採用活動などのため最近は学生さんと話す機会が増えていますが、彼らに共通しているのは、ひとつの会社に生涯にわたって勤めるという発想はまったくなく、それが故に自らに還元できるスキルの獲得に対して非常に意欲的だということです。

とりわけすでに大人顔負けのスキルを有し、意識もモチベーションも非常に高い若者にこそそうした傾向は強くでています。

そうした若い人材の活用なくしてこれからの企業の成長は難しく、従って企業側も「持ち運び可能であること」を意識した仕事の設計をしていく必要があります。

そのためには、まずは業務の時間的、場所的な制約を廃すとともに属人化を防ぐことで、汎用的なスキルや社外の人材で解決できる仕事を増やし、不足しているリソースを適時に市場調達できる体制を構築したいところです。

統合されたシステム

NTTドコモは、いわゆるPOSシステムにおけるデータのリアルタイム分析の効用を企業経営全体に拡大するため、非常に大型の、完全に統合された基幹システムの導入を決定しました。

通常の基幹システムは、業務発生後、当該業務を行った従業員がそれを報告するまでの間にどうしてもタイムラグが生じ、経営のリアルタイム性が損なわれています。

請求書が月末締めで発行されることが通例であるため、おおよその企業は翌月頭から収入と支出の集計をはじめ、大体10日から20日程度かけて決算がまとまる企業が多いのではないかと思いますが、これでは月の初めには実は請求額が確定していたとすると、最大で40日から50日の遅延が発生していることになります。

NTTドコモでは、スケジューラとワークフローを起点に、業務が発生した時点ですべてのデータがリアルタイムで処理され、現在、そして近い未来の経営状態を完全に正確に把握することに成功しています。

この効果は大きく二つあり、ひとつは業務の削減です。
スケジュールを登録して、費用を精算して、報告書を書いて、プロジェクト別の工数を記録して、など、統合されていない業務は、二重、三重の手間を強要します。
これを防止することで、NTTドコモは年間で424万時間の削減に成功しています。

この時間は、よりクリエイティブな活動にあてられ、業績の向上に寄与します。

もうひとつは業務品質の向上。

必要なときに必要な情報が即座に得られることや、金額の正当性や申請の適時性に対する意識が高まったこと等により、業務品質の向上について「大きな成果を得た」とされています。

業務が変われば意識が変わり、意識が変わればパフォーマンスも変わってきます。

重要なことは、業務の複雑性を理解したうえで、パフォーマンスが向上するように、システムを統合し、デザインすることです。

自律的な組織

トラベラーズ保険では、キーパンチャーの仕事の速度と品質を向上させるため、従来パンチングやチェックなど工程ごとの分業となっていた一連の業務を再設計し、書類の受け取りから納品までを一人の担当者が横断的に担当するようにしたところ、エラー率は35%減少し、欠勤も24%減少、生産性は40%上昇しました。

これは、仕事の楽しさと目的を創出するための伝統的な手法です。

顧客との関係を構築し、裁量と目的意識をもって働くことによって、仕事を楽しむことができるようになります。

大事なことは、自分のとった行動がもたらす影響が(すぐに)見えるということです。

いま、あまりキーパンチャーのような仕事はありませんが、多くの人が目的や影響のわからない細切れに分断された仕事をあてがわれ、細かくやり方を指示されています。

しかし、これからの時代はあらゆる人がワーカーではなく、リーダーになる必要があります。

シロアリは、9メートルにもおよぶ巨大なアリ塚をつくり、通気口によって気温や湿度を管理し、外敵の攻撃には兵隊アリで対処しますが、シロアリの世界に管理者がいるわけではありません。

環境に適応してパフォーマンスを出すためには、中央集権ではない、各メンバーの自律的な判断と行動が必要になります。

モバイルアプリを活用しよう

言うまでもなく、仕事のモビリティを高めるうえでモバイルアプリは非常に有効です。

業務の時間的、場所的な制約をなくすだけでなく、仕事をプロセスかして整理することで属人化を防ぐことができます。

また、完全に統合されたシステムの構築には元来莫大なコストがかかっていましたが、いまやあらゆるITシステム間をまたぐAPIエコノミーが形成されつつあり、あらゆるシステムは連携が可能になりつつあります。

統合的なフロンエンドとしてのモバイルアプリを開発するだけで、簡単に、統合されたシステムを実現することができます。

モバイルアプリを活用したシステムを自律的に運用し、改善していくためには、完全なアウトソースは避けたいところです。

業務システムはいまや企業の中心的存在であり、その品質は企業文化と同じくらい重要な意味を持ちます。

Unifinityなどの開発プラットフォームを活用した内製化についても、ぜひご検討ください。

著者情報

曽良 俊介

カツラです。社長とCEO。 twitterもフォローお願いします。 https://twitter.com/shunsukekatsura

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