なぜ日本の会社は世界で勝てないのか

社長ブログ

おはようございます。

ユニフィニティー代表の曽良です。

突然なのですが、アジャイル開発ってご存知でしょうか。ある日突然聞くようになった外来語のひとつだと思いますが、要はソフトウェア等を開発する際の工程の話で、工程ごとに分断する流れ作業形式ではなくて、最初から最後までひとつのチームで思考錯誤しながら進めた方がいいものができるよという話です。何が肝かというと、チームのメンバーみんなが「なぜやるのか?」を含む全体感を把握して、いろんなことに臨機応変に対応するということです。

リーンスタートアップは聞いたことがありますか?シリコンバレーを席巻しているニュービジネスを始める際の型です。新しくプロダクトをリリースするとき、最初からがっつりつくりこむのではなく、最低限の、本当に最低限の機能だけで一旦市場に投入し、市場からのフィードバックをかき集めながらプロダクトをだんだんよくしていくやり方です。ポイントは、プロダクトが受け入れられるまで、方向性すら柔軟に変更させつつ、つくってはためしということを何度でも繰り返すということです。

現代モチベーション理論では、すべての従業員が自らの生み出している価値を実感できるように工夫してそれぞれの職務を設計すること、それから、従業員の目標は従業員自身に立てさせ、マネージャーはそれを支援する役割に徹することが推奨されます。要は、すべての従業員が、自分のために、自分で考えて働ける状況をつくるということです。それによってモチベーションが向上すれば、業務品質が底上げされ、会社全体の生産性も向上していきます。

問題の見える化

ということで、なんとなく感じていただけたと思いますが、全部同じなんですよね。どれもつまり、組織や組織が生み出すプロダクトを、外部環境に対して、いかに素早く、柔軟に適応させるかという話です。

で、それもそのはずで、よくよく見てみると、どの話題を扱う本にも絶対一回はトヨタって出てくるんですよね。もしかしたらこんなことみなさんとっくにご存じなのかもしれませんが、要するに全部起源がトヨタ生産方式なのです。

トヨタ生産方式と言うと「かんばん方式ね」という感じもありますが、トヨタ生産方式をつくりあげた大野耐一さんは、著書の中で次のようにおっしゃってます。

現場に対していかにニーズを感じさせるか、これが全体の改善を大きく進める鍵である」と。「ニーズのないところで行われる改善は思いつきに終わったり、投資しただけの効果を得られなかったりすることが多い」そうです。

現場が問題意識を持って、業務のプロセスやサービスの品質を向上させていく。すべての経営者にとって憧れの状況ですが、では現場が問題意識を持てるようにするために一体何をしていますか?ということです。うちの社員に問題意識がないのはやる気がないからだみたいなことをおっしゃっていませんか?そもそも問題を見せてあげないと、問題意識なんて生まれませんよね?

したがって、社員が問題を見えるようにするためにどうすればいいかということなのです。冒頭に紹介したアジャイル開発やリーンスタートアップ、現代モチベーション理論などは、要するに、問題を「見える化」して共有するためのメソドロジーです。

“日本式”の逆輸入

何が言いたいかというと、これってそもそも日本から出てきたメソドロジーのはずなのに、なんで最近になってアメリカから入ってきたみたいになっているのだろうか?ということです。

バブル期、日本の特に製造業が世界を席巻しました。その際、日本企業の現場は、高いチーム力を有し、課題を共有し、改善を主導し、高いクオリティを出してきたわけです。

それを受けて米国の研究機関なんかがいろいろ研究したのだと思います。その結果が体系化され、各方面での応用が進み、実際にうまくいくものがでてきました。そうしてさらに体系化が進んだ理論をスタンフォードなりハーバードなりで学び、野心的なスタートアップを立ち上げ、実際に大成功したりしています。googleなり、Facebookなり。

で、いま、あのgoogleも採用する最新のマネジメント手法!」みたいな煽りで例えばOKRみたいなものが日本にやってきて、みんなありがたがって学んでいます。なんだかおかしいですよね。

我々が捨て去りたくて堪らない昭和の中に、実は我々が憧れてやまない米国シリコンバレーの最新マネジメント理論が存在しているという構図です。なんだか我々の細胞から誕生したサイボーグが我々を駆逐していく感じもあって、すごくサイバーパンクです。

世界はひとつのチーム

なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

印象ではありますが、どうも我々には、うまくいった人の成果をちゃんと研究して、その結果を共有し、みんなで発展していこうという意識が薄い気がします。米国では当然に行われていることも、全然できていない。それが故の現状だと思います。

最近、百田尚樹さんが著書で、日本人は争いを好まない民族と書き共感を集めていましたが、本当にそうなんでしょうか。歴史的にも応仁の乱とか戊辰戦争とか、結構意味のない(あったんでしょうが)争いをずっとしていましたよね。最近でいうとペイメント系サービスなんかも完全に戦国時代です。あんなに競争したら耕すべき土壌がむしろ枯れるんじゃないかと心配になります。

欧米のような一神教の国とは違い相対的な価値尺度のみが存在するが故、すごく周りを気にするし、隣の人を少しでも上回ろうという、結果的に競争大好きという人が多い印象です。それこそ戦国時代とか下克上とかめちゃくちゃ人気ですしね。振り返れば自分も結構そういうところはあって、進路や就職など重要な意思決定をする段になると、やはりどうしても彼我の差というか世間の目を気にしてしまいます。

日本にもそれこそトヨタや、他にもソフトバンクなど、グローバルに活躍する偉大な企業はありますが、国全体としてみれば、米国の後塵を拝していることは事実でしょう。その要因のひとつとして、ここで言うような行き過ぎた競争意識があげられると思っています。

みなさんにとって一番身近なチームを想像してみてください。チームで一番成果を出す人は、他のメンバーを敵視している人でしょうか。そんなわけないですよね。チームで一番成果を出す人ってのは、大抵そのチームのことを一番考えていて、チームに貢献しようって思ってる人ではないでしょうか。

世界もひとつのチームだと思うのです。競争じゃないんですね。分業なわけです。

どのレイヤのチームに帰属意識をもつか。人の在り方を決める結構大事な問いだと思います。私は「世界」という一番でっかいチームに所属し、また貢献する人になりたいし、当社もそんな人が集まる会社にしたいです。

今週も頑張りましょう!

著者情報

曽良 俊介

カツラです。社長とCEO。 twitterもフォローお願いします。 https://twitter.com/shunsukekatsura

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